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弁護士 亀石倫子&丸井英弘×東京ピンク〜大麻取締法改正の案とヒント〜 麻なびスペシャル大麻対談

「共感」へのアプローチが大切

-「大麻取締法を改正する。」そのきっかけを生むには世間からの「共感(知ってもらう)」を得ることが大切だとお考えですか?

亀石 その為に色々なアプローチがあると思っています。
今はまだ嗜好用の解禁までの議論はハードルが高いかもしれませんが、CBD製品がたくさん入手できる様になって健康、美容、ウェルビーイングといった観点からアプローチすると敷居が低くなるので共感や関心を持ちやすくなると思います。
なので、伝えたいことは同じだけれどもどの様なアプローチなのか、誰が発信するのかは非常に大事になるなと。
そこも戦略的にやっていく必要はあるのではないかと感じています。

-memo-
ウェルビーイングとは
1948年にWHO(世界保健機関)が出した憲章において、「健康とは、身体面、精神面、社会面における、すべての well-being(良好-性)の状況を指し、単に病気・病弱でない事とは意味しない」と表記された。

-本当に仰る通りだと思います。多くの人に大麻を知ってもらうきっかけになるには戦略的に情報発信をする事が必要だと思います。

 

今の日本社会では、タブーを破る部分へ声をあげるところから

-いまお話で出たように医療も皮切りの一つであると。
日本の大麻裁判の歴史の中で「山本医療大麻裁判」がありました。ステージ4末期がんの山本さんが医者からも改善の方法がないと宣告され治療の為に自宅で大麻を栽培し治療に使用しました。
大麻取締法違反に対して憲法13条の生存権で争った裁判です。この裁判を麻なびはレポートしてきました。

 

そして亀石さんの「刑事弁護人」の令状なしのGPS捜査の違法性に似た部分があると思いました。
それは裁判での「勝ち筋」といいますか、GPS捜査でも新しい論点を発見した。
山本裁判にはこれまでの大麻裁判ではなかった「命」がかかっていると言う部分(効果が証明されているものを生きる為に使用したことは罪か?)が新たしい論点として際立った裁判でした。
外堀を埋めるのに専門家への根回しだとか意見を頂戴する、ここも非常に似ているなと。

-現在の大麻裁判でこの様な具体的な「勝ち筋」がない中で一般の世間体で今できることは、やはり「共感」を得ると言う部分に集約されるとお考えでしょうか。

亀石 そうですね、例えば日本では大麻取締法に違反した芸能人を逮捕し、ワイドショーなどで報道がされている。こうした報道のあり方は見せしめ的だと思います。
大麻の話をすること自体がタブーと言う風潮もあって、実は去年の参議院選挙に出馬したときに、私が関心を持っている「大麻取締法」をテーマにトークイベントをやりたい!と選挙スタッフに提案したら、全員から反対されました。

- (笑)本来の目的達成にはちょっとリスクあるよね。と言う判断でしょうかw

亀石 そうですね。大麻取締法について、正しい知識を前提とした議論を始めるべきだという考えだったのですが、「気持ちはわかりますが、やっぱり国政選挙の候補者として発言するのはあまりにもリスキーです」と反対されました。
その時に初めて、そんなに大麻の話ってタブーなのかと思ったのです。
いきなり「大麻を解禁しろ!」と言うつもりはなく、「議論を始めよう」と言いたいだけなのですが、それすら言えないのか、と。
そのタブーを破ることがはじめの一歩になるのではないかと思っています。

 

司法と人々の意識へのアプローチを同時並行で進めていくことが大事

-麻なびでは、タブーを破るきっかけとして専門家や影響力のある方が大麻取締法への疑問点を発言する事が大きな要素になると(だから発信しやすい土台づくり=空気感を作ろう!)と発信をしてきました。
亀石さんが感じた選挙戦では大麻の話はタブーという場面でも、アメリカではそれが逆に票につながる理由にもなっています。最後の国会審議までたどり着くにはそこまで世論の意識が上がっていかないと梃子でも動かない状態が続いてしまうのだろうなと。
そう考えると亀石さんをはじめとする専門家、芸能人、芸人さんの様に影響力のある人の発言が始まって少しずつではあるけどタブーが破られてきています。
丸井先生や前田先生をはじめとするこれまで行動を起こしてきた先人がいたからこそいまに繋がっている。
長く日本の大麻史に触れていてやっとここまで来たと。そしてこれからは司法と人々の意識へのアプローチを同時並行でバランスよく両方を保ちながら前に進めていく。それが大事なのだと思います。

実はTwitterで面白いレポートを見つけました。それはロサンゼルス在住の日本人女性の発信で「合法化後のアメリカでは、私の周りの一部にはコミュニティ内で大麻を共有し合っている人もいる」とありました。
驚きと思ったより早い!という印象だったのですが。合法化後はディスペンサリーという医療、嗜好の大麻を販売している店ですが、みんな税金を払って買っている訳です。
けれども今回の現象は「ぶっちゃけ、大麻は税金をかけるものなのか?」という疑問が一部のアメリカ人の意識に生じており、実際に行動が始まっているということです。

なぜそこに繋がっているのか、やはりアメリカのドキュメンタリー映画のWEED THE PEOPLE 〜大麻が救う命の物語〜 の様に、ある程度の品質の大麻であれば自分たちのベランダや畑で育てた大麻が家のキッチンでクッキーやオイルにできる。
それがどうやら自分達の病気に効果があるらしいぞ、予防的観点で見れば非常に良いものらしいぞ。そして “これ自分達で賄えちゃうよね” と感じてしまったのだと思います。
大麻を完全に開放せずに(一部の規制や税金をかけて)オープンにしたアメリカが今後この部分に対してどの様に対処するのか。規制をかけるのか、曖昧な非犯罪化の枠になるのか、完全に開放するのか、個人的に注意深くみて行きたいと思っています。

何が言いたいのかというと、日本とアメリカでは世間の大麻に対する意識に違いと大きな差がまだあると感じます。
共感を得ていく事の大事な側面としては(多くの共感があれば)逮捕をされても職を失うところまでの判断を会社や社長がしないとか、親からも馬鹿なことやってんじゃないよ!と頭を叩かれるくらいで済むとか、そう言った空気感を世間に生み出すには「共感」が必要になっているなと。
先に述べた空気感は法律が変わっていなくてもある意味で非犯罪化を生み出していると思うのです。

-お二人にお伺いしたかったのは、そう言った人の意識への問いかけも大事だけれども現実的に裁判で勝つには切り口としては「医療」になるのでしょうか。

亀石 刑事裁判で言うとやはり山本さんの医療大麻裁判のような人道的観点から見ておかしいという社会からの理解と共感が得られるケースでないとなかなか難しいのではないかと思います。

丸井 私も同感です。

-やはりそこが共感をもっとも得ることができる筋ですよね。そうでないとマスコミも肯定的な側面を報道しにくいのだと思います。それは世論がまだまだ「ルールを破っているくせに!」という状態であるからで。今はまだその繊細な部分を汲み取る作業が必要ですよね。

 

強すぎる大麻愛がハードルを高めている?「伝達方法」を進化させることも必要

-本日の対談をまとめていきたいと思います。弁護士として活躍されているお二人に大麻取締法について改めてご意見を伺うことができました。
法律家としての見解は大麻取締法は規制根拠が何なのかが不明確であり、保護法益のない法律である。
何故この法律があるのかとても疑問を感じる法律であるということ。この点を再度この記事や動画を見てくださっている皆さんと共有したいと思います。

そして海外で有効活用されている中で、「日本でも大麻を利用する選択肢があるべき」とか「日本でも活用すべき!」など、その様なアクションが日本で始まりやがて法改正のステージに至るまでには、大麻に対して世論の共感を十分に得られるようにすること、知ってもらうことが大事であるとお話をしました。
一人でも多くの人に大麻のコトを知ってもらうには “伝える方法に戦略と意図を持ち効果的なアプローチをすること” が大事になっていると。

大麻の情報を発信する人たちの特徴に主観でしゃべるというか、思いが強すぎで「どうしてこんなことも解らないのだ!」的な強い主張(攻撃的)になりがちな傾向があったと思っています。もちろんそれがあったから日本で大麻が途絶えることなく残ってくれています。
今の時代はそこから更に「伝達方法」を進化させることが必要になっていると考えています。

亀石 私も大麻取締法に関心を持ち始めてからいろんな方の発信を読んで勉強させてもらっています。
そこで感じるのは、良くも悪くも大麻への愛が強すぎる故に、非常に主観的になっていたり、広く薄く発信していく上ではちょっとハードルを上げてしまうような所があるのではと正直感じています。
だからこそ、もう一方に私のような発言者、つまり、大麻が好きでなくともこの規制はおかしいという、こういった角度からの発言があってもよいのではないかと思っています。

-そう思います。この問題はとても重要であり、医療や命のことにまで及んでいる議題ではありますが、一方で発信方法としてもっと軽い題材での話題もあるべきだし、これまでは主観が先行していた部分は強かったと思います。
Twitterの発言で面白いなと思ったのはやはり大麻愛で語る人(発信や反論)のよくある傾向としてアンチに対してマウントを取りに行くというか。強い論調で反発する印象を持たれていると思います。“もっと別のやり方ってあるよね”という意見を目にして。

でもこの様な意見がSNS上で出てきているということは日本の大麻解禁の歴史の中で議論の中身や携わる人の意識がとても発展している、具体性を帯びてきている。長年携わらせていただいて見てきた中でそう感じます。
確実に前に進んでいる。そして明確になってきなと思う点は、法廷のステージに上るのに必要な絶対条件としてはタイミングと勝ち筋である。そのタイミングを迎えるには人々に共感してもらえるアプローチで発信をすることが必要である。

あとはその共感が十分になるのに必要な時間がどれだけなのか。ここは今後のアクションの具合や影響次第で短くも長くもなるモノなのだろうな。
日本の中でいろんな立場の人がこの話題に関心を持ち議論が始まる状態を迎えれば自ずと面白いことになってくるだろうなと。そう感じました。
今後も亀石さんには大麻取締法に関してもどんどん発信いただけたらと思ってまいす。

亀石 はい。こちらこそ引き続き、よろしくお願い致します。

丸井 今日の対談で感じたのは私一人でやるのと効果が100万倍ちがうなと思いましたね。
弁護士の中にも潜在的におかしいと捉えている人はいると思いますが、声に出せるか出せないかでは決定打が違うんです。
そういった意味では革命的な出来事だと思っています。亀石さんの発言はとても貴重な発言でありヒントになると思います。

-はい。いろいろなキーワードを拾うことができました。これまでとは別の場所で発生した点との最初のコネクションにもなりました。
大切なのは多くの人と一緒に大麻のコトを考えたいと思うし、だから麻業界の中で産業、医療、嗜好で分かれて争っている場合ではないなと強く感じました。
いろいろな人が関心を持ち始めてくれているのに携わる人たちが大麻を分野で分けてその中で争っている。(同じ方向をみられない)これは本当に馬鹿みたいだと思うし国益にならない。
そして“そういう所って外から見られている”ということを再度認識すること。(大麻取締法改正のアクションは新しいフェーズを迎えている)こんな状況だけど皆で一丸となって “楽しんでいきたいな♪” と思いました。

多角的に大麻という植物を捉えると「新しい論点」がみつかるかもしれない・・

丸井 そうですね。日本には休耕田があり山も荒れている。国土として日本はまだかろうじてそんな状態で残っている。
これを何とか良い状態に戻さないといけない。江戸時代のレベルにまで回復したいですよ。それには我々の生活を根本的に見直す必要があると思います。
そういった中で私が法律家として何が出来るのか、そう考えるとやはり大麻は日本の国土と風景を持続するうえでも強い存在価値があると感じます。
それをGHQの占領政策の中で徹底的に大麻草のことを消したではないかと思うのです。
今の日本でも地名としては残っていますがそれが日本の麻文化には直結せずチグハグです。
本来は縄文時代から受け継いで来ているものなのですが。
人類史の中でもいま大きな転機を迎えている中で、我々人類がこの先も生き延びるためには、戦争や人間同士争っている場合ではないのです。
日本も参加している生物多様性条約というものがあります。この観点からみれば大麻草への国家的撲滅行為です。
ですから大麻取締法の制定を維持していること自体が多様性条約に反するのですよ。
更に日本人は大麻草に対しての正しい認識を忘れさせられている。その意識を戻して国家予算1兆円くらいかけ各分野の産業を増進させれば日本の大麻文化は蘇ると思います。

-丸井先生がお話されていた“多様性”という観点は僕としては新しくて新鮮でした。
令状のないGPS捜査でも似た点がありましたが、裁判で勝つまでの流れで「新しい論点(観点)」を発見した部分がそれだと思います。
捜査過程で対象者に疚しいことがなければ問題ないはずだという(世間が許容していた)風潮を変えたのは“そもそもプライバシーは誰からも干渉されるものではない”という真実でした。でも当時の世間では一般的ではない傾向が強かったわけです。
丸井先生の仰られる“植物の多様性”というのも大麻取締法へのアプローチ方法として新しい論点にもなると思います。
大麻に関心を持つ人が増えれば「人権」「医療」以外の新しい論点も出てくるのかもしれませんね。

丸井 そうだと思います。どうでしょうか。既存の農業でも大きな変化をうむとなると新しいものはないと思いますよ。
政府が積極的に大麻草を扱えばいいのです。
原発だって50基50兆円です、その規模で活用すれば新しい産業も起こるし工業もできます。
全く新しい社会のモデルになると思います。

-いやぁ先生、やっぱり我々は大麻愛が熱いですね!

– asanavi memo –
生物多様性条約は、1992年6月ブラジルで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で発行
発効年:1993年12月29日/締約国数:194の国と地域
生物多様性条約は、3つの大きな目的を掲げた国際条約
1. 生物の多様性の保全
2. 生物の多様性の持続可能な利用
3. 遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分

 

亀石 私にはこれまで愛をもって携わった方へのリスペクトがあります。
丸井先生は大麻取締法に関してこれまで孤軍奮闘されてきたことも本当に尊敬をしています。
そういったこれまでの流れを無駄にしないためにも“何か新しいアプローチが必要”と考えています。

-そうですね!大麻のコトに熟知している発信者は、日本でももうすぐ大麻議論が社会現象になる。そのことを前提とした振る舞いや言動(発言内容)が今の時代では求められている。
この動画でそういった大切な空気感が共有できて記事を読んでくれた(動画を視聴してくれた)みんなの参考になれば幸いです。丸井先生、亀石さん、本日は貴重なご意見を頂くことができました。本当にありがとうございました。

亀石 こちらこそ、丸井先生と初めてお目にかかれて嬉しかったです。

一同:ありがとうございました

-麻なびよりまとめ-
東京ピンク×弁護士 亀石倫子&丸井英弘のスペシャル大麻対談!
皆さまいかがでしたでしょうか!^^
今回の対談では大麻取締法を改正する案とヒントを導くことができました。
1)大麻取締法の改正には裁判の勝ち筋と人々の共感を同時に育む必要がある
2)勝ち筋のある裁判でないのであれば大麻取締法違反で争うことは避ける
3)法廷で争うよりも自分の周り10人に大麻の正しい知識を広めよう
4)伝達方法に戦略と意図を持ち「共感」を得られる効果的なアプローチをする
★)安心してください。専門家でも被告人の発言でも真実に変わりはないのです。

大麻の真実は一つです。
その地点へ向かってずーーっと日本でも大麻解禁のアクションは続いてきました。
医療大麻で助かる人がいる!先ずはここですね。
産業の分野で大いに活用しよう!最強ですね。日本の大麻には依り代の特徴があります。
嗜好大麻で吸いまくりたい!最高ですね。氣づきという大麻最大の特徴ですね。

すべてが立派な大麻解放の理由です。
あとはそこに辿り着くまでの時間をどれだけ短縮できるのか。
ですから、ここからは一つ一つを戦略的にいきましょう。
最後に辿り着くゴールさえしっかりと見えていれば問題はないはず。

おわかりですよね!
大麻取締法には規制根拠がありません。
そろそろ皆んなで考えよう。
いや〜、大麻って本当に素晴らしい植物ですね。

亀石さん、丸井先生、この度は本当にありがとうございました。
みなさん、また次回の対談でお会いしましょう。

ごきげんよう。

2020.5.16
Tokyo Pink

DON DON PUFF / LONSDALERS

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