大麻で逮捕された者の現実:逮捕者の家族に及ぶ影響
〜大麻で逮捕された者の現実〜
特集 vol.4 逮捕者の家族に及ぶ影響
小館氏の裁判(被告人供述調書より)
検察官:この憲法違反の主張をこの法廷ですることについては奥さんの理解は得られていますか。
小館氏:いえ、理解は得られていません。私の判断です。
検察官:それが奥さんと今後の夫婦生活を営んでいけるかどうかについて悪い方に影響するとは考えませんでしたか。
実際に裁判で行われたやり取りである。
小館氏は現在離婚の可能性も含め夫婦間で話し合いが行われている。
またこの出来事の影響で飲食店を閉店することになった。
これから自分の気持ちに「嘘」をついて生きていくのか?
突然そんな選択を突き付けられる。
犠牲者は誰だろうか。本人?家族?社会?
大麻取締法がある事で訪れる現実がここにある。
〈過去の記事〉
・プロローグ 〜大畑龍馬氏の控訴審を傍聴した方からのレポート〜
・vol.1 第一審判決前に周りの人に向けた手紙
【私を知るすべての皆様及び、私と同じ地で生きてきたすべての皆様へ】
・vol.2 取締まる人、判決を下す人に向けた手紙
【この度の私の逮捕から裁判に関わった全ての公務員と弁護士の皆様へ】
・vol.3 二度目の保釈日記
【第一審後に大畑氏は刑務所へ収容される。その時の様子を綴った日記を紹介】
平成29年(わ)第9号等
被告人供述調書(2)
(この調書は、第1回公判調書と一体となるものである)
氏名 小舘 義孝
質問及び供述
別紙反訳署記載のとおり
以上
弁護士 今法廷で見せられた大麻の入手先は全てこの県北地域で自生している大麻ということで間違いないですか。
はい、間違いありません。
大麻の自宅での栽培であるとか、それから店舗で乾燥させて所持しているということが法律によって禁止されているということは知っていましたか。
はい。知っていました。
法律で禁止されているということを知っていながら、所持を続けたり、あるいは栽培したりしたのはどうしてですか。
大麻取締法が、憲法違反であること、ずっと吸っていた経験から大麻がどうしても 悪いものだとは思えないという、そういう理由です。
大麻のその経験上、いい面、効用の面についてどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
私は、もう震災以降は自分の健康のために大麻を吸っていました。心、気持ちが安らぐ、食べ物がうまい、音楽がすばらしい、もう心にも体にも何かいいことずくめです。
御自身で体感した大麻のメリット以外に何か他に大麻のメリットについて主張したいことがありますか。
ええ、あります。衣食住全てに役立つと思いますし、衣は天然繊維の中でも一番強いものですし、長持ちします。しかも肥料要らずで育てることができます。食、もう体に摂取しても栄養価もバランスがとれていますし、今は健康食として商売している人たちもいます。あと、住居。今は大麻で家が1軒建つという状態が海外ではできています。木材を30年、50年かけて木材を育てなくても1年足らずで成長したものを使って家が建つということです。
以上でいいですか。
いや、まだまだ。ちょっと医療。今の世界の医療大麻事情は200種類以上だと思います。そういう難病に処方されて効果を上げていきます。あとは、大麻の油で車を走らせたり、燃やすことができ、エネルギーにすることができます。環境温暖化対策にもなると思いますし、とにかく日本は紙を消費するために世界中の森を犠牲にしています。大麻を植えることによって木を一本も切らずに環境を守ることができます。あと、大麻の効果としては気持ちを落ちつけ有効的に作用しますので、人との争い、戦争もなくなると思います。
以上でいいですか。
まだあるはずだ。
とりあえず一通りいいですね。
ええ。
では、今度は逆に大麻のリスクとかデメリットとか、法律がわざわざ禁止しているという理由について、御自身その大麻を使用している中でそれを実感したということはありますか。
実感としてはリスクは大麻取締法で人に迷惑もかけず、健康のために私は使っていました。捕まってこういう目に遭い、それがリスクです。悪いところは経験上何もありません。
甲第42号証(捜査報告書(大麻の有害性について))を示す
今回検察側から提出された甲第42号証の22ページには大麻のその作用として「酒に酔った感覚や手足などに麻痺等があらわれるとともに、視覚、聴覚、味覚、触覚等の感覚が鋭敏になります。また、思考が分裂し、現在、過去、未来の観念が混乱して感情が不安定になったりします。このため興奮状態に陥って、暴力や挑発的な行為を行うなど無責任な衝動的行為を行うようになります」こういうふうに記載されているんですけども、今の記載について何か言いたいことありますか。
いえ。それは、原発の放射能と一緒でやっぱりうそが多いと思います。自分の経験上・・・質問が飛んでしまったんだけども、何でしたっけ。
今の記載についてはうそが多いという御意見でよろしいですか。
自分の経験上、大麻を吸って暴力的になったこともありませんし、むしろ友好的なつき合いができると思います。
あとは、薬物等では依存性の問題が指摘されますけれども、小舘さんの中で大麻毎日のよう に20年間吸われていて、依存性があるというふうに自覚していますか。
いえ、自覚はないです。長年吸っていますけれども、今回それが証明されたと思います。8月14日に逮捕され、禁断症状、そういうことが一切ありません。
では、幻聴、幻覚等の影響があるという指摘もありますけれど、それはどうですか。
ありません。 他人に危害を加えたこともないということでよろしいですね。
ないです。
それから、大麻に限らず覚醒剤や、あるいは合法ドラックといった薬物によって重大犯罪がこの世の中で引き起こされているということは知っていますね。
はい。
そういうもののその入り口として大麻が悪影響を及ぼしているというような意見もあるんで すけども、それについてはどう思いますか。
そんなことはないと思います。
それはどうしてですか。
なぜかというと、そういうアルコールもそうですが、アルコール、覚醒剤、たばこ、いろんな依存性のある薬物の治療法として私は使えると思います。逆です。 入り口ではなく、そういうものから救ってくれるものとして大麻を使うべきです。
これまでの御自身の大麻に対する考えはよく分かりましたけれども、現に存在するという法律に違反したことによって今回さまざまな人に迷惑を掛けたということは分かっていらっしゃいますか。
はい。
ものすごく迷惑をかけました。
どういった方に迷惑をかけたと思いますか。
やっぱり家族です。
ほかにいますか。
家族の両親、大家さん、友人、そういう人たちです。それ以外はないです。社会には迷惑を掛けていません。
今後の生活について今の質問とも関連してお聞きしていきますけれども、今回事件を起こして捕まった後に奥さんとか、子供たちと面会したということはありますか。
ええ。これまではなかったんですけども、きょう初めてこの裁判が始まる前、妻の知子が訪ねてきて、15分ほど話しました。それだけです。
奥さんが今現在どんな心境かということは御存じですか。
ええ。その15分の間に子供ために離婚を考えているという、そういう話を今日聞きました。
今日、聞く前から私の伝言でも聞いていましたよね。そういうこと奥さんがおっしゃってい るとか。
ええ。離婚届はもう突きつけ・・・言われていましたんで。
大麻との関係とか、それから逮捕前のような、乱れた生活を続けるということであれば、子供さんたちによい影響がないから、別れることも検討していると、そういうお話だったふうに聞いていますね。
はい。そうです。
そのことを分かった上で聞きますけれども、今後社会に復帰した際に大麻とはどういうふうに関わって生活していこうと思っていますか。
これからは、やっぱり法で禁止されている以上捕まったときにはこういう迷惑をかけるんで、大麻を所持することはないにしても一刻も早く大麻を解放するように大麻を持たずに解放する努力をします。
お仕事はどうするつもりですか。
今の状態は一文なしです。留置場を出たらすぐにでも仕事をして、家族を養いたいと思います。
どんな仕事をするつもりですか。
いや、今のとこ何もありません。何しろ店が潰れたばかりですんで。
お仕事を探すのは当てはありますか。
ないです。
じゃ、ハローワークか何かに行って、仕事を探そうと思っていらっしゃるんですね。
ええ、そうです。
あとは、これまで来たお客さん、そういう人たちに話をして、お仕事があればすにでも仕事をします。
それから、お子さんたちの教育とか監護に関しての状況についても従前児童相談所から何度か指導があったりということがあったと思いますけれども、今後そのお子さんたちの監護とか教育についてはどういうふうにやっていきたいというふうに思っていますか。
周りではそういう見方をしていると思いますが、子供はいたって健康でした。でも、やはりそういう人たちの意見にも耳を貸しながらやっていきたいと思いま す。
児童相談所とか、それから奥さんの両親とか、そういった人たちのアドバイスをしっかり聞きながらやっていくということでいいですか。
はい。
アドバイスを聞きながら子供の健康を第一に、でもこれまでの生活でも子供は不健康なことはありませんでした。常に元気で、むしろ周りの子供たちよりも元気じゃないかというぐらい健康的だったと思います。
そうだとすると、そのままでいいというふうに思っていらっしゃる・・・。
いいえ、違います。
どういうふうにしていこうと思っていらっしゃるんですか。
家族を守るために意見を聞きながら子供が健やかに育つように環境を変えていきたいと思います。
ちょっと繰り返しになりますけれど、最後に奥さんとか、それから子供さんたちのために大麻解放運動は先ほど続けられるという話をしましたけれども、その大麻取締法がある限りは法律違反の行動はしないということをここで誓えますか。
はい。家族を守るためですから、誓います。
検察官
まず、捜査段階においてOKEIで発見された大麻の自生場所については、警察官や私に話していませんでしたけれども、今も話す気持ちはありませんか。
はい。ありません。
国は、大麻を絶滅されようと思ってそういうことをやっていますが、私は自然に対してそういうことはできません。
話せば、保健所が大麻を処分してしまうからということですか。
ええ、そうです。自然破壊だと思いますし。 警察官から押収された大麻の種について所有権を放棄するかどうか確認されたということはありましたか。
はい、ありました。
それは、所有権を放棄しましたか。
放棄していません。
なぜ放棄しなかったんでしょうか。
それは、食用にもなりますし、栄養価も高いものですし、それをまくことによって大麻が復活してくれるし、そういうことです。
私としては、今回栽培の事実でも起訴されているお立場なので、大麻の栽培の危険性なども考えると大麻の種子については所有権を放棄してほしいと考えているんですが、どうでしょうか。種についてはですか。
それは食べます。
放棄する気はないということですか。
ええ、そうです。
種に関しては法律違反ではないというのですよね。
もちろんそうです。
次の質問ですけれども、きょう奥さんと面会したと先ほど話していましたね。今の現状ですけども、あなたの今後の大麻の関わり方によっては離婚するということなんでしょうか。
そういうことだと思います。それもあるでしょうし、もう第一はやっぱり子供のためを考えてだと思います。
もう、離婚届は渡されているんでしょうか。
まだ手元には来ていませんけれども、もう渡されたのと一緒です。
そうすると、あなたが今後どのように大麻とかかわるにかかわらず、もう奥さんは離婚を決意されているということなんでしょうか。
それは、やっぱりこれまでの話し合いというものが一度もありませんでした。ですが、大麻との関わり方、大麻は所持しません。それでも大麻を解放することが放射能時代の日本にとって大切だと思います。それは、日本人が生きていくためで、生き延びるためです。
ちょっと質問を変えますけれども、あなたが今後も大麻の解放を訴えていくことについて奥さんの理解を得られているんでしょうか。
いえ、まだそこまでは話はしていません。
それは、奥さんの理解をもとに主張しているわけではないということですね。
はい。そうです。
今回の法廷で大麻取締法が憲法違反だという主張をされていますね。
はい。
そのことについてちょっと聞きます。まず、憲法13条、19条、25条1項、31条、36条のことですけども、これは大麻が無害であるということを前提にした主張なんでしょうか。
ええ。そうです。社会に役に立つものとしての大麻の戦中、戦前までの日本の大麻の見方です。
要は、無害なのにそれを取り締まる大麻取締法は幸福追求権であるとか、思想、良心の自由であるとか、生存権、それから法廷手続の保障であるとか、残虐な刑罰を規定した憲法に違反するという主張なんですね。
はい。そうです。
それから、憲法14条1項の主張されていますね。
どういうあれですか。どういう憲法ですか。
法の下の平等の条文なんですけども、これはお酒とかたばこと比べてその大麻の規制が厳しいんじゃないかというような趣旨の主張でしょうか。
はい、そうです。
先ほどの質問と若干重複するんですが・・・。
やはりなぜかというと致死量です。大麻には致死量ありません。アルコールは致死量あります。たばこもそうだと思います。
なのに大麻だけを規制するのはおかしいということなんですか。
ええ、そうです。
この憲法違反の主張をこの法廷ですることについては奥さんの理解は得られていますか。
いえ、理解は得られていません。私の判断です。
それが奥さんと今後の夫婦生活を営んでいけるかどうかについて悪い方に影響するとは考えませんでしたか。
大麻解放の運動については悪いことは起きないと思います。ただ、大麻を所持して逮捕された時の社会から受ける罰ですか。あとは、白い目で見られるという、そういうことを避けるために大麻を所持しないと言っているだけです。
話を整理すると法律がある以上は御家族のために大麻を所持することはしないけども、解放の訴えを続けていくということですか。
はい。そうです。
質問を変えますけれども、あなたの周りには大麻を解放を同じく思っている友人たちがいますね。
はい。
その人たちとの付き合いは、今後どうするつもりですか。
もちろん付き合っていきます。なぜかというと、やっぱり今回もそうですし、そういう人たちに支えられて何とか精神的に崩れずにきました。みんな優しい友達だと思います。これ以上にもしかすると深い付き合いになるかもしれないです。
あなたは、捜査段階の取り調べの中に大麻には被害者はいないというふうに話してくれたことがありましたね。
はい。
今回あなたが店で大麻を所持していたことによって、奥さんも一緒に疑いをかけられて逮捕されていますよね。そういう奥さんはとかは被害者じゃないですか。
それは、やっぱり大麻取締法が憲法に違反して、違法なため逮捕されて犯罪者になるという、言ってみれば悪法だと思います。
法律が悪いと。
法律が悪いです。
あなたが逮捕された当時、大麻はどれぐらいの頻度でするとか、体に摂取するというようなことをされていたんでしょう。
どれぐらいの頻度で・・・。
毎日ですか。
ええ、毎日健康のために吸っていました。原発事故後は特に意識して吸っていました。
そうすると、大震災の後は毎日吸っていたということですか。
はい。そうです。
あなたが大麻を乾燥させたり、持っていたり、吸っているということは奥さんは知っていたんですか。
はい。もう付き合ったころから、15年前だと思います。そのころから私は大麻を吸っていました。しかし、妻知子は違法であることから自ら大麻を手にすることはありませんでした。
知子さんは、あなたにやめてほしいというふうに言ったことはありましたか。
はい。あります。
あなたは、それは聞かなかったんですか。
はい。そうです。やっぱり国が宣伝している大麻についての考えと自分の体験した大麻の考えのずれだと思います。
知子さんは、どういう気持ちであなたに大麻をやめてほしいというふうに言っていたと思いますか。
やっぱり違法ですし、大麻は麻薬として宣伝されています。
違法なことだから、やめてほしいと。
はい。そうです。あとはその麻薬という、本来は薬草だと思うんですけども、麻薬というレッテルのせいだと思います。
体に悪いから、やめてほしいと、そういう気持ちだったんじゃないかということですか。
はい。そうです。
あなたとしては、そういう気持ちに対してはどういうふうに考えていたんですか。
私は、酒を飲みません。
お酒の話を聞いているのではなくて、違法だからやめてほしいと、それから体に悪いから、やめてほしいという知子さんのお気持ちについては、あなたはどういうふうに考えていたんですか。
だから、何と説明すればいいのか、やっぱり自分の責任でやってるから、いいんだという主張をしてきました。
あなたが自分の責任でやっているから、いいんだという結果が今の状態ですよね。
はい。そうです。
そのことについて何か後悔していることはありませんか。
一番の後悔は家族に迷惑を掛けたという、周りの人に迷惑を掛けたということですけども・・・もう一回質問を。飛んでしまいました。
分かりました。お答えになっていたかと思います。
多分、もっと違うことを言いたかったはずなんだけども。
知子さんは、あなたが大麻に関わっていくのであればもう離婚を考えたいというようなことを警察や検察官には述べているようだけれども、それについてあなたは大麻を持たなきゃいいと、栽培しなければそれでいいと、そういうお考えですか。
もちろん、一刻も早く大麻が解放されるように願っています。
だから、解放されるための活動は続けると、そういうことですか。
活動をする、しないにかかわらず、そういう友達は大切です。
そういう友達との付き合いをやめてほしいと知子さんが言ったらどうしますか。
やめずに済む道を2人で探して付き合っていきます。
以上
最後に小館氏より依頼を受け、彼からのメッセージを付け足します。
「私は祈ります。
日本でも大麻が解禁され違法でなければ
生きのびる命、いやされる命、生きる希望が生まれます。
愛する者の命がつきる前に一刻も早い大麻解放を心から望み願い祈願致します。
(2礼3拍手1礼)
ありがとうございます。」