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大麻の歴史 縄文〜江戸時代

日本(縄文時代〜昭和の第二次世界大戦前)

〜縄文時代〜 縄文の「縄」って麻のこと!?

縄文時代の遺跡からは大麻の種が発見される。
縄文人には、糸を作る技術が存在していた。
骨製の針に小さな穴を開け、麻やカラムシの繊維を糸にしていた。
獣の毛皮だけでなく、布を使って衣服も製作している。

 

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左 出典:http://www.geocities.co.jp/NeverLand/5666/jomon1.html
右 出典:浅間縄文ミュージアム

特に寒さから身を守る手段として重宝されていた。
画像の衣服は復元だが、とてもデザイン性の高い創りをしている。
縄文土器の模様にも、麻の縄が利用されていた。
また、縄文人は大麻を食料や燃料にもしていた。
大昔から今に至るまで、大麻はさまざまな用途に利用されてきたのである。

 

〜弥生時代〜 麻織物が発達

弥生時代中期には、なんと養蚕が行われており、絹も創られていた。
更に、貝や茜から染色する技術を持ち、紫、赤、橙、深紅、青、緑など、複数の糸を使用して織り重ねている。
日本には、絹と麻を同時に織る倭文織(しずり・しずおり)という織り物があった。倭文織はとても高度な技術を要するが、残念な事に現代でその技法は失われてしまっている。

 

〜飛鳥時代〜 名前に使われる「麻」の文字

飛鳥時代あたりから人名で麻の文字が使われる。

 

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公家などが使用していた一人称でもある。
例):「麻呂の~はどこじゃ?」
現代でいうと“僕”や“私”の意味。

漢字が日本に伝わってから現代まで、名前や名字に“麻”の文字は数多く使用されている。
例):柿本人麻呂、麻生太郎
縄文時代から衣食住を支えてきた“麻”は、現在の人名や町名にも使われている。
それは、麻が人々の生活に馴染んでいたからであろう。

現在も残る“麻”のつく町名の一部

大麻(おおあさ):北海道江別市
麻見田(まみだ):岩手県岩手郡雫石町
色麻町(しかまちょう):宮城県加美郡
麻生町麻生(あそうまちあそう):茨城県行方郡
大麻生(おおあそう):埼玉県熊谷市
西麻布(にしあざぶ):東京都港区
麻生区上麻生(あさおくかみあさお):神奈川県川崎市
麻畑(あさばたけ):新潟県十日町市
美麻村(みあさむら):長野県北安曇郡
當麻町當麻(たいまちょうたいま):奈良県北葛城郡
麻植塚(おえづか):徳島県麻植郡鴨島町
大麻山(おおあさやま):香川県小豆郡小豆島町

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などなど!皆さんの町はありましたか?

 

〜奈良時代〜 歌に残る麻のある暮らし

万葉集には麻を詠んだ歌が28首ある。

■万葉集

作成時期:奈良時代
特徴:現存する日本最古の歌集(約4500首)
天皇から貧しい農民の歌まで含まれる

  麻衣(あさごろも)着ればなつかし紀の國の妹背の山に麻蒔く吾妹(わぎも)
  「麻の衣を着ると妹背山で麻を蒔いていたあの乙女を思い出す」

万葉集は、平安時代の古今和歌集よりも麻の歌が多く詠われている。
この万葉集の歌からは、当時の人々の生活や心の模様まで見えてくる。

麻畑の収穫後の仕事の流れ。
収穫→乾燥→煮る→水に浸ける→剥ぐ

麻の茎をこの工程で剥いだ後に、表皮や不純物を削ぎ落とす作業がある。
これを「麻引き」と言い、主に女性の仕事とされていた。
「麻引きが上手くできないと嫁に行けない」などと、一昔前は言われていた。

 

〜江戸時代〜 麻を利用したエコロジーな暮らし

戦国時代を経て江戸時代になると、大衆文化の華も大きく開く。江戸時代では、大麻をフル活用し、とてもエコロジーな生活を実現していた。

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by Robert Frederick Blum

麻の着物→ほぐす→雑巾や袋物→刻む、煮る、漉く→麻紙
最後の麻紙は書道や手紙、ふすま紙や障子紙として姿を変える。
江戸の人々は、自然素材を最後まで利用する精神があった。

 

~生活の中に麻~

江戸では凧揚げが流行し、麻は、凧糸やコマの糸にも欠かせないものであった。
あまりの熱狂ぶりに、幕府から禁止令が出たことも。

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葛飾北斎「『江都駿河町三井見世略図』

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産着

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麻素材の産着には、すくすくと育つ麻のように成長してほしいという願いが込められている。
麻の葉の模様は災いを防ぐお守りとして、麻の香りが虫除けになるとして、生まれてくる赤子の為に、母親が手で刺繍をする習慣があった。

麻の着物

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下駄の鼻緒

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はちこく【八穀】
稲・黍(きび)・大麦・小麦・大豆・小豆・粟(あわ)・麻の、8種類の穀物。

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江戸時代に生まれた七味唐辛子。
今ではスーパーフードとして再注目されているヘンプ。
漢方薬を参考にして作られたと言われる七味唐辛子には、大麻の実が入っている。

文化の華が開いた江戸時代、麻は色々な形に姿を変え、衣食住に携わっていた。
こうして食文化でも、栄養満点で美味しい麻の実を使った郷土料理が、全国で考案されていきます。

麻の実の郷土料理

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大麻の歴史〜明治以降に続く ➡
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