大麻で逮捕された者の現実:二度目の保釈日記


〜大麻で逮捕された者の現実〜
麻なび特集 vol.3 二度目の保釈日記

第一審後に大畑氏は刑務所へ収容された。今回はその時の様子を綴った日記を紹介します。
自由であるという事がどれだけ素晴らしいものか。それがこの文章から痛感できる。
そして現在の司法に期待できなくても、それでも例外が起きるのではないか。
控訴してまで大麻の真実を法廷で叫ぶ事は、あるいは自分の首を絞める事にもなるのが現実。
それでも彼は「種」を蒔く事を選んだ。

〈過去の記事〉
・プロローグ 〜大畑龍馬氏の控訴審を傍聴した方からのレポート〜
・vol.1 第一審判決前に周りの人に向けた手紙
【私を知るすべての皆様及び、私と同じ地で生きてきたすべての皆様へ】
vol.2 取締まる人、判決を下す人に向けた手紙
【この度の私の逮捕から裁判に関わった全ての公務員と弁護士の皆様へ】

【二度目の保釈日記】

第一審が終わって8ヵ月の実刑判決を受けた私は、そのまま盛岡少年刑務所に収容された。
保釈期間の5日間に考えられることを全てやり尽くしたので、収容されてからは職員の注意もかまわずに何日かは眠り続けた…。
けれども、なんとなくようやく目が覚めてきた。頭はまだぼうっとしている。
そうだった。おれは実刑判決を受けて、刑務所にいるんだったよ。

せっかくだからよく観察しよう。

うん。本物の畳。窓からは光が入って赤松がみえる。
これだけでも留置所よりはだいぶよさそうなところだなあ。

ごはんも量が多くメニューは豊富。肉類は肉を食べたときのフンのように臭いけど。
おかげで5キロ肥えた。まるで自分がけものになったようだ。

ただ職員に関しては留置所のほうが人間っぽい対応をしてくれる。
刑務所では驚くほど事務的に機械的に矯正的にものが言われる。
耳が慣れるまで全く何を言っているのか理解できなかった。
慣れても未だに分からない部分が多くあった。
でもだんだん小鳥がぴーちくぱーちく鳴いているように聞こえて、なんだかそれも愛おしくなってきたよ。心を覗けばみんないい人だ。

平日の日中は横になることは許されず、ずっと机と壁に向かって座ってなければいけない。
これはけっこう大変で健康にもよくないけど、ものを書いたり本を読んだりするぶんには机がありがたい。本も留置所より自由に読めるし、ペンも鉛筆など色々使わせてもらえる。

ただ、寒さだけがつらい。凍える寒さを耐えるのも罰や矯正の一環なのか。
寒さの刑なんて、判決にあったかな?

週2回ほどの運動は本物の土の上を歩けるし、鉄格子を挟んでお天道様も拝める。
留置所内ではほとんど景色など望めない。
高い空の天井で、鳥っこがぴーぴー鳴いている。

「やい、人間様は鉄を編んだ巣でもつくって、たいそういい暮らしをするもんだなあ。」

「いえ鳥さん、これは刑務所というところでわたしはここに収容されて刑罰を受けているんです。」

「さすが人間様はたいしたことを考えて、決まりを作るもんだなあ。ピーピー」

と年の暮れを知らせるように鳴きながら鳥っこは大空をぐるぐるまわる。
おれも同じように鉄格子の中をぐるぐるまわるまわる。

この鉄格子がなければ犯罪者が溢れ出てしまうような世の中を人間は作りあげ、たしかに今その中でわたしたちは暮らしているのだ。

まあでも、これで8ヵ月ならいいか。
部屋には窓だって水道だってあるし。
自由自由…いんや。

やっぱりぜんぜんよくないぞ。

なんで8ヵ月もこんなことしないといけないんだっけ?

大麻?なんだっけ?あー、おれは大麻を使ってとっても悪いことしたんだっけ。

えーと、なにしたんだ?んー身に覚えがないや。

けれど、矯正する必要があるとされてここに収容されていることは確かだ。

ああはやく、木っこに触りたいな。なでたいな。めでたいな。
自然と触れ合いたい。自然の中で。
みんなと火を囲んでおしゃべりしたり。
ふつうの人間の営み。させておくれよ?人間様?
みんながいうには、ここに8ヵ月いればおれは矯正されて
悪いところが全部ふっとんでキレイさっぱり素敵人間になれるということらしい。
よし、そうだ。さっそく詩でも書いて葉書を送ろう。
職員さんにお願い事して、葉書を購入してっと。

「さあ、大麻(たいま)の匂(にお)いを嗅(か)いでみよう」

よし、これだ。これはいいのができた。
これを○○さんと○○さん宛てにお願いします。

「…これはいけないものだ。発信禁止。」

「何がですか?どうしてですか?」

「かくかくしかじか…とにかく発信禁止。」

「では、不服申し立てを願います。」

ということでこの刑務所を管轄する仙台矯正管区長宛てに不服申し立てをすることになった。

「平成29年11月27日、○○さんと○○さんに信書の発信を願い出たが同日、大麻についてかかれてあるからとの理由で発信を差止めされた。私は裁判においても大麻の大切さを訴えているのであり、大麻について書かれてあるからとの理由で信書の発受信の禁止、内容の制限等あれば今後の裁判に支障がある。また、今回差止めされた新書は私の詩であり芸術作品でもあってすべての国民に保障されている人間の権利に基づき、大麻という植物を通して大自然の大切さや素晴らしさなどの喜びを最大限に表現したものである。したがって私に対する措置は不服であり不当であるから、盛岡少年刑務所が私に対してなした発受信の禁止、発信内容の制限、文書図画交付制限の措置の取り消しと、良心、思想、表現の自由を求める。」

この書類は”不服申し立て”と大きく書かれた封筒に入れられ、運動時間なども常に手にもち歩く決まりになっている。

他の収容者も私の持つ封筒に注目していたので、わざと見せびらかすようにした。
なぜなら皆も不服があれば申し立てて欲しいと強く思っているから。
今のところまだ矯正管区長からの返事はない。
これでも許可されない場合、今度は法務大臣に申し立てをすることになる。
なんかすごいなー。世の中。

けれどもそうこうしてる間に、自分で申請してみた保釈請求があっけなく許可された。
そしてまた自由になった。保釈の身分だけど。

許可がでるか、保釈金が用意できるかは別として、保釈の請求は東西南北も分からないおれにできるほど簡単だ。

分からないことは分からないと裁判所に伝えると親切丁寧に教えてくれる。
正直、判決が変わらなければこのまま刑務所で冬を過ごしたほうが早く自由になれる。
でも結局は保釈の道を選ぶことにした。なぜかな。

タバコが吸いたいのかな。砂糖が食べたいのかな。それもある。
欲しくなるのはニコチン、カフェイン、砂糖の順。
おれが酒好きだったら、酒は上位だろうな。
酒の気持ちいい酔いに酔わずにはいられなくなるから。

大麻は特に欲しくならなかった。

みんなが大麻を許すなら、ばんがばんが吸うし食べるけどね?

大麻の気持ちいい酔いは意識がはっきりしていて鮮明だから好き。

でもそういうことじゃないんだよな。
そうだ。おれの裁判はまだ全て終わったわけじゃない。
控訴審での判決はどうなろうと関係ないし気にすることじゃない。(内心とっても気がかりです) 再び全身全霊でこの思いを仙台の法廷にも伝えよう。

種を蒔こう。国選の弁護士に、検察官に、裁判官に。
そのための保釈だ。

ただ、いまいちまだ本気がでてきていない。
これをこう伝えたいっていうのがまだ掴めていないらしい。
屁理屈の話しは第一審で散々やったしなあ。
もう憲法とか法律の話しじゃないような気もするんだよねえ。
どうやら大麻や、解放うんぬんの話しでもない気がしていてね。
なんだろう。詩とか工芸品とかがいい線いってるような気がする。
とにかく控訴審までに探し当てよう。
どんでゃ見でのが、参ったが!ってやつ。

こうして再び一時的な自由を獲得したことをみなさまに報告します。

2017年12月7日

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