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イベントレポート

「BORO 美しいぼろ布展~ボドコ、生命の布~」を訪ねて

麻なびレポーターのfumieです♪

前回のレポートにも書いた、生まれたての赤ちゃんを迎える敷布「ボド」の展示会「BORO 美しいぼろ布展~ボドコ、生命の布~」が浅草アミューズミュージアムでやっているというのを聞きとても気になったので行ってきました。


写真元:http://www.tokyoartbeat.com/event/2017/77F7

この展示は主に民俗学者・民俗民具研究家・著述家である田中忠三郎さんが主に収集された「ボド」が展示されています。

田中忠三郎さんは(1933年~2013年)青森の下北アイヌの調査や縄文遺跡の発掘、江戸から昭和に至るまでの衣服や民具(生活用具)の収集・保存活動をされていました。

「ボド」は150年以上も前、江戸時代から青森の山村、漁村、農村で麻布や木綿布を継ぎ足した敷布を「ボド」「ボドコ」と呼んでいて何代にも渡り使われていました。




寒冷地の青森では綿花が育たず特に木綿の入手も困難だったため昭和初期まで麻布が続いた歴史的背景と過酷な気候風土、資源が乏しいこともあり布への思いが一層強まり世界に類をみない布文化が生まれました。

「ボド」は亡くなった先祖が着ていた衣服を継ぎはぎした布でお産にも使われ生まれてきた赤ちゃんを取り上げ「あなたは一人で生まれてきたのではないのだよ」というメッセージを伝えていたのだと言います。

このメッセージにはひとり生まれるのに十代さかのぼるだけでも千人以上もの血がながれている。数えきれないほどの誕生と死がある。何代にも渡り大事にされてきた布の力を生まれてきた赤ちゃんの力にと願いを託していたとの事です。

今の時代の感覚では到底たどりつかない叡知だと思い驚愕しました。

面識のある祖父母の事は思い出す事はあっても代々の先祖の事なんて考えた事がない私。今ここに居るのは壮大な自然の中で生かされているんだと思いました。

消費社会中心の今の時代で「古くて汚ないから捨てる」「もったいないからとっておく」「愛着があるから捨てられない」とも全然違う、人々の願いが込められ絆があったんだと思いました。

大麻はあらゆる分野で使われていてどの分野の話を聞いても昔から人ととても深いところで繋がっていたんだなと毎回思うのですが今回も大麻を通して人と人との結び付きを強く感じました。

そしてさらに驚いたのは「ボド」は「BORO」として世界共通語となりテキスタイルデザインの分野でも高く評価されていて、欧米の染色美術・現代美術のコレクターから買い求められているとの事です。

継ぎはぎされた「ボド」を見ていると本当にかっこよくて、センスがよいんです。テキスタイルデザインに繋ってるのがよく感じとられます。
「ボド」以外にも女性用のモモヒキ、仕事着として使われていた「タッツケ」や使い古した布を継ぎはぎして作った肌着等も展示されていてとても素敵でした。

実際に欧米人の方が何人か見にきていて熱心に写真を撮られていました。

「ボド」を知る前からテキスタイルデザインを見たりするのは好きで、作品を買ったり、自分でもハギレを継ぎ足してテキスタイルデザインっぽい簡単な小物をたまにだけど作ってるなと思い出しました。ゴミになるものがいくらでも変容できるのとその時によって柄、色、形を自分で決められるのが楽しいのです。そんな選択をしていた自分をいとおしく思いました。

麻を通して先祖から叡知を受け継いでるのかなと嬉しくなりました。この感覚大事にします。

この展示は3月25日(日)までですが同じ浅草アミューズミュージアムで3月30日(金)ら2019年の3月31日(日)まで写真家・ジャーナリストである都築響一さんから見た「BORO」の展示があります。

https://www.amusemuseum.com/exhibition/

是非、見て下さい。

fumie

DON DON PUFF / LONSDALERS

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