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医療大麻2.0時代の到来か、カナダ企業が薬品開発加速

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〜麻なびよりコメント〜
カナダの大麻ベンチャー企業が次のフェーズに移りだした。
医師や保険会社に認めてもらい大麻を主流の医薬品にすることだ。
カンナビノイドの含有量をさまざまに変えて新たな処方薬の開発に着手している。例えば、即効性あるいは持続性のある錠剤がいいのか、定量吸入剤がいいのか、またはカンナビノイドと他の医薬品やサプリメントを組み合わせて効果を高めるのがいいのか、ベストな投与システムを見つけ出そうとしている。
大麻の成分を使用した鎮痛剤について、人を使った臨床試験も開始されるそうだ。
大麻産業先進国は着実にその歩みを進めている^^

配信元:REUTERS
https://jp.reuters.com/article/pot-pharm-idJPKCN1G70X1

[トロント 16日 ロイター] – 医療用大麻を栽培するカナダのキャノピー・グロース(WEED.TO)が、世界の製薬大手に挑もうとしている。

同社は2016年後半、大麻に含まれる化学物質カンナビノイドをベースとする医薬品を製造し、特許を取得して政府から承認を得るため、キャノピー・ヘルス・イノベーションを設立した。

不安神経症から慢性痛、多発性硬化症や小児てんかんに至るまで、さまざまな疾患に対する大手治療薬との競合を目指す、こうしたベンチャー企業の数は、カナダではまだ多くはないが増えてきている。

これら企業は、錠剤や吸入剤、液剤や塗布剤として販売される処方薬の開発に力を注いでいる。その目的は、大麻を主流の医薬品として医師や保険会社に認めてもらうことだ。

「キャノピー・ヘルスのような企業が今後どんどん出てくる。要するに、医療用大麻2.0の到来だ」と、キャノピー・ヘルスのマーク・ウェイン最高経営責任者(CEO)はインタビューでこう語った。

「これは大麻に関する知的所有権を求めるゴールドラッシュ期で、その動きは加速している」

カナダの緩い規制や成熟した大麻業界、そして自由な資金移動は、そうした企業に、米国などの大麻企業を行き詰まらせた法的・政治的リスクなしに研究を進めることのできる、またとない機会を与えている。

米連邦法が依然としてあらゆる形態の大麻を禁止しているのに対し、カナダは2001年に医療用大麻を合法化し、今年は嗜好(しこう)用も合法化する。カナダ政府は、医療用大麻の完全合法化に必要な研究と臨床試験を歓迎しており、資金提供さえ行っている。

現在、大麻を輸出しているのはカナダとオランダだけであり、カナダ企業は、医療用大麻が最近合法化された20カ国以上において即座に有利な状況にある。調査会社ブライトフィールド・グループは昨年、世界の医療用大麻の市場規模が2021年までに314億ドル(約3.3兆円)と4倍に拡大すると予測した。

現在、カナダの医療用大麻は、喫煙できたり最近ではオイル抽出された嗜好用として使われるものとほとんど変わらない。医療用大麻の栽培、製造、販売を行うため、70社超が保健省からライセンスを取得している。その半分以上は2017年、あるいは2018年に認められている。

キャノピー・ヘルスなどの企業は現在、カンナビノイドの含有量をさまざまに変えて新たな処方薬の開発に着手している。例えば、即効性あるいは持続性のある錠剤がいいのか、定量吸入剤がいいのか、またはカンナビノイドと他の医薬品やサプリメントを組み合わせて効果を高めるのがいいのか、ベストな投与システムを見つけ出そうとしている。

カナダは2015年、より先進的な医薬品の基礎となり得る大麻成分の分離を認め、カンナビノイド抽出物の販売を許可することで、本格的な医学研究に道を開いた。

政府が昨年、嗜好用大麻を合法化する法案を提出して以降、研究と投資のペースが急速化。カナダの大麻企業による株売り出しは昨年、10億ドル近くと3倍に増えた。

キャノピー・ヘルスは昨年、他の機関や研究者らと治験を行うため1600万カナダドル(約13億円)の資金調達を行ったと、同社のウェインCEOは語った。同社は睡眠改善薬の特許27件を申請しており、現在は不安神経症治療薬の開発に取り組んでいる。2020年ごろまでに政府から最初の承認を得る見通しだ。

時価総額53億カナダドルの上場企業であるキャノピー・グロースは、未上場のキャノピー・ヘルス株の46%を保有している。

キャノピー・ヘルスのライバル企業の1つ、カニメッド・セラピューティクスは先月、オーロラ・カンナビス(ACB.TO)による買収に合意。これによりオーロラ・カンナビスの時価総額は60億カナダドルに膨らみ、世界最大の大麻企業となる。

カニメッドは、モントリオールにあるマギル大学やマニトバ大学といった大学機関と提携し、多発性硬化症や変形性関節症、小児てんかんの治療薬を研究している。

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「(他国企業に比べて)自由に活動でき、現在では資金も十分なため、カナダ企業は業界をリードしている」とカニメッドのブレント・ゼトルCEOはロイターとのインタビューで語った。

<医師と保険会社を説得>

吐き気の改善や緑内障の治療など、医療大麻は長年にわたり使用されてきたが、医療業界にその医学的価値を納得させるような研究はあまり存在しない。

大麻は通常、患者が自ら求めた場合に処方されるだけだ。また、「医療用大麻が嗜好用としてよく使われる」ことは公然の秘密となっている。

「実際のところ、医療用大麻の世界は患者主導で動いている」と、医師の資格を持つエメラルド・ヘルス・セラピューティクス(EMH.V)のアブター・ディロン経営執行役会長は説明。「エビデンスを欲しがる医師の気持ちは分かる」と語った。

エメラルドはまもなく、大麻の成分を使用した鎮痛剤について、人を使った臨床試験を開始するとディロン会長は明らかにした。

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カナダで医療用大麻をカバーする保険は、スーパー最大手ロブロー(L.TO)の従業員保険や復員軍人省、保険会社サン・ライフ・ファイナンシャル(SLF.TO)などほんのわずかしかない。

「この植物について学ばなければならないことがたくさんある。研究はその医学的効果を数値化し、立証するのに大いに貢献する」と、カナダPIファイナンシャルで中小の成長企業を担当するリサーチアナリスト、ジェイソン・ザンドバーグ氏は言う。

<研究少なく、議論多し>

大麻の成分を使った医薬品の効果とリスクを巡っては、いまだに激しい議論が交わされている。

長期使用による中毒や認知機能障害、不安神経症やうつ病、肺がんなどに対する懸念が、米国立衛生研究所(NIH)のウェブサイトに掲載された2014年の論文で挙げられている。

「大麻は、カナダ保健省の厳しい医薬品規制プロセスをまだ通過していない」と、カナダ内科学会(CMA)のローラン・マルクー会長は指摘。「適量や起こり得る副作用、そして他の医薬品にどう作用するかについて医師は分かっていない」とマルクー会長は語った。

2016年8月に保健省から医療用大麻の販売を許可されたエンブレムは、オピオイドへの依存を軽減する新たな鎮痛剤に適したカンナビノイド類を見つけ出す研究に、向こう2年間で320万カナダドルを投じる。

同社医薬品部門の責任者、ジョン・スチュワート氏は以前、米医療用麻薬最大手パデューファーマの北米CEOを務めていた。北米にまん延するオピオイド危機を招いた主因とされる鎮痛剤オキシコンチンを製造販売する会社だ。

だがスチュワート氏は、さらにデータが必要だと語る。

「オピオイドの服用を中止したいが、疼(とう)痛コントロールは続けたい患者に対し、医療用大麻による治療をどのように始めたらいいのか、われわれはまだ分かっていない」と同氏は述べた。

医薬品市場で「ばく大な可能性」を持つかもしれない完全に規制された製品を開発するために研究費を調達する中、医療用大麻の製造会社は、合法だが規制されない医薬品を販売し続けることが可能だという、まれに見る好条件に恵まれていると、メッドリリーフのニール・クロズナーCEOは語る。

「われわれには、多くの人が将来、さまざまな医薬品に取って代わるかもしれないと考える製品を販売することが許されている」と同CEOは説明。「だがそれには、カナダ保健省による従来の承認プロセスを経なければならないという義務はない」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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