犯罪的麻薬流通が深刻なメキシコで、大麻の医療目的使用がついに合法化

〜麻なびよりコメント〜
メキシコで大麻の医療利用を認める刑法の改正が行われた。
昨年の統計で、5人中4人は大麻の合法化に反対、しかし医療利用に関しては3人中2人が賛成との結果が出ている。
隣国のウルグアイが薬局販売を議会が承認したことも追い風になっているという。
とすると、やはり嗜好を含めた合法化には麻薬組織カルテルの存在が5人中4人は反対という意見に反映されている
気もする。メキシコの嗜好利用での反応の悪さは社会的な背景が大きく関係しているのかな?

配信元:HARBOR BUSINESS Online

4月28日にメキシコの下院で賛成301、反対88、棄権2で医療目的での大麻の使用が合法化された。刑法198条の改正が承認されたのである。そして、保健一般法において、大麻の医学的使用が認められるとした。医療大麻として使用できるのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含む大麻である。また、この刑法改正によって、規定の基準を満たすという条件で大麻を医療目的として栽培できるようにもなった。(参照:「Sin Embargo」)

メキシコは世界で2番目の麻薬生産国であり、それを最大のビジネスとしている麻薬組織カルテルも横行している。そして、隣国に麻薬の消費大国である米国が控えている。このような事情から、大麻の合法化は非常に難しい問題だとされていた。しかも、昨年の統計では、5人中の4人は大麻の合法化に反対していた。

もちろんその一方で、医療面での使用となると、3人中の2人は賛成だとしていたし、メキシコで2015年には個人消費を目的とした大麻の消費は合法であるという判決も下っていたという背景もあった。

また、同月初めに、ウルグアイにおいて薬局での大麻の販売が出来るように議会が承認したこともメキシコ議会に影響したようだ。

子供の病気治療での必要性を求める声

しかし、今回の刑法改正を議会で承認させる引き金となったのは、病気の子供を持つ親たちが大麻を治療に使うのを認めるべきだとして、その使用を訴えて来たというのも一因だ。大麻が医療分野で効果があるというのは公の事実となっている。しかも、子供はまだ体力的にも弱いことから従来の治療では副作用で身体的障害をもたらす可能性があるが、一方の大麻は副作用が少ないとされているのである。

例えば、グラセ・エリサルデという名前の少女を持つ母親マイェラ・ベナビデスは娘が強度のてんかんによって<一日に400回も痙攣に襲われる>事態になっていたが、従来の医学治療を施していた。大麻による治療をしたくてもそれは違法で出来ないからである。しかし、両親はその窮状を訴える活動を続けた。このケースに支援を表明して<市民から15万人の署名>も集まったという。遂に、2015年9月に法廷で彼女のケースを担当したひとりの判事が<娘のグラセに治療を目的とするということで大麻シロップの輸入を承認した>のであった。それを受けて、<連邦衛生リスク対策委員会(Coferpis)がその輸入を許可した>のであった。(参照:「Pijama surf」)

母親のベナビデスは今回の医療大麻の合法化について、<「多くの子供が大麻治療を待ち望んでいる。これまでは他の医薬品で苦痛をコントロールして来た」>と語り、今後は大麻治療が受けれるこということから、それを合法化させた関係当局に非常に満足していることを伝えた。(参照:「La Opinion」)

メキシコが選んだ「道」

子どもを抱える親たちの代弁者とでも言った感じで、メキシコの3大政党のひとつで大麻の合法化に一番積極的だった民主革命党のヘスス・サンブラノ副党首は<「これまでは、子供が病気と共存して生活ができるために、親たちはこの治療を子供に受けさせようとして法を犯してまで行動して来たことが、今後は必要でなくなり、安全にこの治療を子供が受けることが出来るようになった>と評価した。(参照:「Excelsior」)

医療目的という面について、ロシオ・マテサンス・サンタマリア議員は<大麻は40の異なった病気や苦痛の治療を補う効果がある>と指摘した。その一部を次に挙げた。<片頭痛や腫瘍の中でも肺、乳房、脳腫瘍の進行を遅らせる効果がある>。<てんかんの発生を防ぎ、そしてコントロールする役目もする>。<めまい、腹痛、下痢と言った慢性的な病気の症状を和らげる>。<アルツハイマーを予防する>といった効果だ。(参照:「Excelsior」)

一方、麻薬の消費について警察の調査によると、メキシコではメキシコ市だけで見ると<8万5000人が麻薬常習者で、その85%が大麻、7%がアンフェタミン、4%がコカイン>をそれぞれ常習しているそうだ。同市の<若者の大麻の消費は4%から6.6%に増加>しているという。1週間に麻薬に費やす費用は<平均して21.53ドル(2400円)>だという。(参照:「Sin Embargo」)

麻薬の排除への取り組みは容易ではない。しかし、医療における大麻の合法化によってラテンアメリカではウルグアイに続いて麻薬への取り組みを表に出して社会にそれを訴えて、その理解を求める方法をメキシコは選んだのである。

米国も既に29の州で医療大麻が合法化されている。ラテンアメリカでは今後も麻薬との戦いは続くが、医療面から社会の理解を求める方向に向かう国は増えて行くように思える。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

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